悲しき熱帯/天野茂典
 
  どこかでチャイムがなっている
  夕ご飯をまちかねているように
  だが 拳銃はならない
  弾道ミサイルもとばない
  ちいさな水溜りには花びらがちっている
  エフリマコ
  あなたは髪にさすだろう
  フラ・ダンスをするまえに
  海風をあびながら
  あなたは花に飾られるだろう
  そうしてアロハ
  あなたは神をよぶだろう
  鳥よ
  雲よ
  火よ
  星よ
  木よ
  土よ
  人と自然が渾然となって
  至福のときを過ごすのだ
  

  電線よ
  バス停よ
  女子大生よ
  スカートの下の劇場*
  悲しき熱帯*

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