デフロレイション/瀬崎 虎彦
立ち止まるたびに空が遠のいていくので
足を踏み出すことは恐怖を忘れるための手段になる
夕焼けと夕闇とそのかなたにある月のない夜の闇を
決して追い越すことの出来ないグラデーションを追いかける
それはたとえば花であり
花は手折られて死に向かいながら
ゆっくりと生きていく
生花とは残酷の所業だと思う
見る見るうちに枯れていくというのでなければ
鈍感な瞳には咲く花の強さを映して
花の世界は閉じていくのだろう
君の世界は閉じている
今その世界を摘んでやる
だからその前に何かを成し遂げるんだ
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