団地(再投稿)/小川 葉
達の家を訪れた
あの日壊したはずのギターが
彼の部屋にあった
きっと父さんが
直してくれたのだろう
うっかりお昼過ぎまで
友達と部屋で語り合って
お昼ごはんをいただいた
塩鮭一切れとご飯が一膳だった
家に帰って
団地の友達の家にと言いかけて
はじめて気がついた
もう団地とは呼ばれていなかったのだ
きちんとした
地名で呼ばれるようになっていた
その経緯を教えてくれながら
母はコロッケとパン一枚を
用意するのだった
いくら買ってもらっても
足りることがなかった
玩具はすべて捨ててしまった
かわりに父さんは
僕をスキーや釣りなどに
よく連れて行くようになった
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