輪廻/藪木二郎
 
 駅の方向から帰った場合
 団地の入り口に当たる
 あそこのあの
 円い花壇の上で
 あいつは待っていた

 あいつと眼が合った瞬間
 僕は輪廻を
 確信することができた

 やあ
 驚いたかい

 僕がこんな風に転生しちゃってて

 前世の僕は
 いい男だったもんな
 物凄くいい男だったもんな
 まさに酒池肉林の一生だったもんな

 お前だって僕の
 愛人の一人だったんだもんな

 あいつは尻尾をクタッと落とすと
 半回転して
 去っていった

 ブサイクになったのに僕
 相変わらずの
 浮気モンだったもんな
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