リダンプション/瀬崎 虎彦
 
まもなく海が終わるのだと
水銀灯のしたでアナウンスを聞き
気泡を次々と追いかけては
食われる魚たちが昇っていった

耳の後ろを押さえたまま歩く
小さな手のひらで痛みをかばいながら歩く
高度を保つようにして歩く
雲の上を揚力で歩く

誰かがどこかでツケを払うことになる
それを輪廻と呼ぶのは正しくない
優越感の鼻っ柱を折るための優越感

海が終わる頃に飛行機は着陸して
遠い外国からきた旅客はみな一様に
土のありがたさを語り合っている
戻る   Point(2)