春めく色たち ★/atsuchan69
第一幕 (森の妖精たち)
矢継早に、四方より登場
わたしは、碧――
贅沢に華を散らして
眩しい朝の陽を浴びた葉桜のように
濃淡の影も爽やかなみどり
わたしは、黄色――
麗らかな山麓に菜の花が咲き
キャラメルを一欠けら頬張った子らの
愛らしい笑みも声もきいろ
わたしは、紅――
背いた罪の数ほど美しく
威風堂々と山里を染める紅枝垂
裂けた葉の無数のあか
わたしは、蒼――
あてどなく彷徨うごろつきの
転がる石も雪融けの水に呑まれ
沈み流れて仰いだ空のあお
暗転
第二幕 (湖畔に立つ女のシルエット)
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