みち/小川 葉
 
 
 
このみちを
あるいていけば
しあわせになるのだと
ははがいう
そのみちをあるきつづけて
ときおりみちくさをしてるうちに
みちはもはや
みちではなくなっているのだが
このみちでいいですか
とははにたずねると
なみだまじりで
まちがいないといっている
みちなきみちの
むこうから
かおのないひとがくる
よくみると
こしからしたもない
たのしそうに
わらっている
しあわせは
もうじゅうぶんだ
というような
あしどりで
すれちがい
そのひとは
しあわせにならないはずのほうへ
あるいていった
なぜ
かえっていくのだろう
ふときがつくと
このみちのはじめには
わたしがうまれた
いえがある
まだわかいりょうしんと
うまれたばかりの
わたしがいる
これいじょうなりようのない
しあわせのはてに
たどりつくことができる
 
 
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