In Vain/寒雪
 

きみなんか
いなくても平気
手足を切られて
芋虫みたいに
地べたを這い回ったとしても
きみが
僕のそばで
脂汗流しているのを
見せつけられるくらいなら


きみなんか
いなくても大丈夫
通りを行く時
仕事に神経を尖らせる時
風呂で足を伸ばす時
監視カメラみたく
きみの目が光ってる
ジョークにしては
面白味に欠けるよ


きみなんか
いなくても生きていける
毒気たっぷりの愛想と
うそだらけの言葉
自分の存在を
声高々に歌い上げる


きみなんて
いなくなれば
ぼくは
いなくなった
きみのことなんか
すっかり忘れて
暮らしていけるというのに


ぼくは
きみの宿り木じゃない
きみは
ぼくの下から飛び去って
自分に合う
制服でも見つけるといい


きみなんて
いなくても平気さ
本当さ
ぼくから
離れてよ
心の底からのお願いさ

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