ふと目を閉じた/瀬崎 虎彦
 
花に
しづかに
雨に
くちびる

くちずさんだ歌
だれの歌だったか
だれと歩いていたか
思い出すまでのためらい

地を這うもの
足掻くもの
道を拓くもの

清涼な山の息吹のように
うつくしいひとに出会って
ふと目を閉じた
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