遠くの夏/朧月
あけた窓から入る風
ふわりと浮かすカーテン
いたずらなのね私の
心 少し動く
まぶしい光りすぎて
ただ見つめるだけの
夏は 私にとって少し遠い存在
歓声はいつも遠くできこえていた
身を隠す私だった
だれもいない海辺でしか
歩かなかった
私の足をただ 波がみていた
どこまでも暗い海をみていた
大きな波音に怯えながら
まぶしすぎるのは こわいから
ただ黙って夜の海をみていた
たどりついた貝殻を
そっとひろった
それが私の夏だと思った
だれかの声と誰かの足とが
泡と一緒に見え隠れする
それをずうっと見ている
のが 私の夏だと思った
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