神について/中村 拓人
れはじめた
ぼくと恋人は空に言葉を書きはじめた
◎
僕たちには友だちがいます
今日はとてもよい天気です
私たちは怪我をしています
ただぼくたちは書きつづけた
僕たちはときどき野球をします
私たちの国はとても寒い場所にあります
僕たちは歩きます
ただぼくたちは書きつづけた
僕の家に病気の妹がいます
僕は歌をうたうことができます
今日はよい日です
最後に恋人があたたかくなってしんだ
ぼくはぼくに「さようなら」を言った
ぼくは恋人に「さようなら」と言ってわかれた
恋人は何もいわずあたたかいゆびで
触れて
くれた
ぼくはひとりで神様にあった
本当にあった
やあ―窓で神様がそういうと
テーブル
からこぼれた水が床で水たまりをつくっていた
夕日が水たまりにうつっていて
ぼくは世界に
やあ―と言った
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