怪物と少女/itukamitaniji
それ以外何も無いのよ。
そう言って少女は 怪物の優しい瞳をじっと見つめて
やがてふっと笑いました その少女の笑顔が
あまりにも優しかったので 怪物もつられるように
二人で長いこと 笑っていたのでした
はじめまして。
ありがとう。
…それじゃ、さようなら。
薬の効果が切れて また少女の目は見えなくなりました
だけど少女の世界は 真っ暗じゃなくなったのでした
さようなら、なんかじゃないよ。
少女にばれないように 怪物は大粒の涙を流しました
だけど怪物は ひとりぼっちじゃないのでした
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