越境/小川 葉
 

まっていた

りくつよりも
うつくしい
あるがままの
わたしのかぞくが

+

きょうあるものが
あすはない

きょうないものが
あすはある
のかもしれない

くれては
のぼる
おひさまをみて

あることを
おもっている

あるひ
あるわたしが
ここにあることを

+

やまにかこまれて
うまれそだったので
やまのむこうには
きのうと
あしたがあるのでした

ようじがあって
やまのむこうにいくひとが
まいとしいるのですが
きのうとあしたを
ちょうせいしに
かれらはいくのだと
おもうのでした

そうして
やまにかこまれたこのちには
ことしもこがねいろの
いねがみのります

やまのむこうから
もどらない
ひともいるのですが

きっといまも
みちにまよいながら
きょうがきょうであることを
ちょうせいしてくれているのだと

そうおもいながら
やまのむこうをみつめ
はははきょうも
いのるのでした
 
 
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