水族館百景/
雨を乞う
て消える蛍光塗料。
記憶する器官を持たないくらげになって
昨日もすっかり忘れてしまえるなら
大洋に抱く不安な気持ちもなかっただろうに。
大層貪婪なうつぼに君が満ちて止みません、
猶予う牙の配列に君がかかってしまったとしたら、
その罠のいずれかを壓し折ってしまえばいい。
繋げなかった掌に淫らにも汗が滲んで感情線を汚します。
無色透明なアクリルの向こう側、
豊かな潮に溺れながらも渇いた体が
ひりひり、する。
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