人にやさしくあれ/
瀬崎 虎彦
かなしみの果て
絶望のふち
そういう言葉は力を持たぬまま
波間を漂う海藻の切れ端
近くなればなるほど恐怖は
足元から冷気のように立ち
悔し紛れに吐いた言葉の中で
今逃れられぬものと対峙するような
人にやさしくあれ
人にやさしくあれ
ただし何も期待をしてはいけない
心を失う前に
失われてしまうほどの弱き心を
投げ捨ててしまうのだ
戻る
編
削
Point
(2)