ご先祖様/
小川 葉
日曜の午後
まだ若かった父と
釣りにいった
一尾の鯉を釣り上げた
家に持ち帰って
僕が釣ったんだよと
母にいった
さっそく料理してくれ
父がいうと
きれいな川なの、と
母は躊躇した
三人、無口になった
翌朝
川へ返しにいった
今頃
誰かのご先祖様に
なっているのかもしれない
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