カッツ・ライク・ア・ナイフ/瀬崎 虎彦
 
輪郭は崩れながら鋭敏さを取り戻していく

遥遠として未来くらい手触りがなく
僕の向こう側で僕の知らない自分を噛み砕いて
ただ読むことも出来ない活字の内側に
足跡を残しては消していく

cuts like a knife

だれかが言った
だれが言ったのかわからない
巨大なデマゴギーの辺縁で
踊る宇宙に散弾

cuts like a knife

あなたが言った
唇を噛み切ってそう言った
夜になる前に 夜になる前から
僕たちはふたりで一人だった
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