やさしさの裏側/かんな
薄暗い放課後の理科実験室で
やさしさの裏側を顕微鏡で覗いている
数名の男子が抱く女子への幻想があるかもしれなくて
もしくはどこか悲観的に
いくばくもない生命のおわりが映るような気もして
ひりりり、とすれる皮膚の痛みが
窓から見えるどんよりとした曇り空に吸い込まれた
実験用のガラス器具には
どこかで誰かに求めている冷たいぬくもりがある
メスフラスコの刻線が測りとる秀逸なメッセージは
ぽた、ぽたり、と落ちてゆく、ゆいいつの潜血
とどかない懐かしさがひっそりとひそむ
ろ過し過ぎた季節をわたしたちはいつも生きる
血液と生きる意味を分けてしまうような
どこか鮮明さに欠
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