まるでレーズンバターみたいに/真島正人
 
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優しく笑って
優しく微笑んで
優しく黒ずんで
まるでレーズンバターみたいに



詩を口にすると
表面がはがれていく



薄いコーティングを
誰のためにしたんだっけ
砂糖菓子を
台風が崩していく



捨て駒のような
人々の群れが
ネオンサインと
ネオンサインと
婚姻を交わす



これは街の話ではなく
これは人の話でもない



壊れやすいから
大事にしていた
そんなことは
一過性の話



上手くいかないと
すぐに泣いてしまう
同情を誘いたいのではないの
ただ体がそうなってしまっただけ
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