葉桜の頃/小川 葉
 
 
 
はざくらのころ
れんきゅうのひに
ふるさとのうらにわで
かぜのざわめきをきいている

わけもわからずに
まつようにしている
ひとになるまえの
ははをおもいだすようにして

さくらのはなびらが
まだのこっている
ところどころ
たてもののかげには
ゆきも
のこっている

ここでうまれ
ここでしぬようにして
ねをはっている
ぼくはぼくのからだを
しらないまちへ
はこんでいく

かぜがざわめいている
ここだけが
いつもしずかに
 
 
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