そして、最初のはなし/れつら
 
そして、最初のはなしをしよう、
どうして始めたのか、どうやって始まったのか、
それがわからないから、お父さんと、
お母さんの、名前をじゅんぐりにつぶやいて、
そのなかにはまったくぼくがいなくて、どうして、
と聞いたら、お父さんは、
にやりと笑って、お母さんは、
なんだかだんだん、お父さんに、
似てきたねえ、なんて言ってくれる、
おねえちゃんも、にやにやしていて、
あんたのほうがにてるよ、ってぼくは言って、
鏡の前で、なんでか左右はさかさまにするけど、
上下はそのままだ、手を伸ばすと、
突き当たって、こつん、
ってぶつかったのが、最初なのかもしれない、
けれど、かたく音をたてたのが、
骨なら、それよりはやくぶつかった肉は、
どこへいったの、皮は、
ぼくは、またたき、
その、あいまで、
それがたぶん、最初のはなし、

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