「帰る場所を知らない」/ベンジャミン
 
{引用=ふらっと車に乗って家を出たら
振り返ることを忘れてしまった

何処に向かうでもなく走って
走って走って走っていた
気の向くままに曲がったりして
まるで人生みたいだと思った

いつの間にかとても細い道を
ただ道の続くままに走っていた
そうすることしかできなかった

行き止まり

ときどきそうだ
道は行き止まってしまう
何処へ向かうべきか標識のない
そういう道もあることに
そのとき気づく

車をおりて歩いた
歩いて歩いて歩いていた
ひときわ太い木に目がとまり
近づいて触れてみた
何だか温かい

木はすごいと思う
木はそこから動くこともなく
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