生き死にの意味を/瀬崎 虎彦
かなしいことはするすると
てのひらをとおりぬけていけばいい
みなとまでもうすこしあとすこし
きもちのはれるすきまをさがしてる
気負いを目に浮かべて立ち上がり
停車する電車のドアの前で
失えずにいるその底辺の
寂しすぎる春の声を聞いた
ベースラインはずっと沈殿する
きみのみみたぶのようにわずかに
うすいももいろにそめあげられて
あるきだすそのあしにひかりの波
僕の最期がたぶん餓死か誰かに
刺殺されるのであることを
随分前から予感として心に抱いてた
けれどその死に方に価値がなく
その時までに重ねる言葉で
生き死にの意味を計ることができたら良いな
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