海を渡る狼/クローバー
 

シャーロック・ホームズは、自らを猟犬と言う
時に住処を荒らす音楽をかけようか
イメージを膨らませたら
遠吠えを聞きなさい、愛すべき空白
ラジカセ持ってきてよ
掻き鳴らせギター、夜明けに雨に
さあ、波だって涙って、守っている
地球を盲目にしないため
海鳴れば白い狼の群が、泡に還って寄せては帰って
濡れているんだよ、声、聞きゃわかるよ
揺らいでいる、飛べばいいのに
君と呼べば、最短の君
追われる私は夕立にまるで歯が立たない
鮮やかだとか完璧だとか、名付けて
声を枯らせ、泣いてよ、私の代わりに、マーガレットが
充分に咲いて、雨に打たれている
百頭だての狼が、砕け散ってはまた帰る
暗い海の底からのぞき込
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