きずな/朽木 裕
 
座りこむ

聞こえてきたのは子供の頃、毎朝聞いていた般若心教
だいぶ文字が読めなくなっていて横から教えながら一緒に読教した
読み終わって手を合わせて
明日の朝も一緒に読教したいと思います
と祖父に語りかけたその横顔が忘れられなくて

何故だか涙がとまらなかった

祖父が亡くなってもう30年ほど経つ
30年も寂しかったんだよね
でも30年ずっと愛しているんだよね

私はそんな祖母が大好きだと思った
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