「雨の日、その一日が悲しいのは気のせい」/ベンジャミン
 

ふと悲しみがこみあげてくるのを我慢しました
我慢している自分を悲しいと思うことも我慢しました

世界はあまりに広いので
こんなちっぽけな悲しみを我慢する悲しみなんて
雨粒一つの価値もないと思えたからです

ならば僕はこの雨の日に
世界の悲しみのいくつかをしっかりと受け止めて
今日という日を悲しくしないでいようと思いました

見上げれば
はるか上空から降りてくる無数の雨が
世界と僕とをつないでいる線のように感じました

それはきっと気のせいです

だから
雨の日、その一日が悲しいのも気のせい

瞳にあふれた雨がこぼれて
まるで涙のように流れてゆくのも

きっと気のせい}
  
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