砂漠/たもつ
こまで書いたロレンス博士は
ふん、馬鹿げた物語を書いたものだ、と
紙を丸めてラクダとともに旅を続けた
丸められた紙は風にとばされ
ジョージ少年のところに届いた
それを読んだ少年は
桜の枝を折ってしまったことを
父親に告白しようと決心した
そこには、正直になれば裁かれることはないという
少年なりの計算があったのかも知れない
そして今、これを書いている私は
未だに砂漠というものを
知らないでいる
我が心は砂漠のようである、
そんな比喩を思いついたのだが
それを検証する術を
知らないでいる
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