開花/
小川 葉
イデオロギーが
目的ではなく
手段なのだとしたら
人として
あるべき姿が
目的ではなく
手段なのだとしたら
二十一世紀
初頭を生きている
僕らが信じていた
二十世紀が
そこにないのだとしたら
愛する妻よ
君と結婚することが
目的なのではなかった
ほろびゆく
国の敷地に残された
春に咲く
花になりたかった
生きることが
手段なら
あの桜の木には
主義を超えた
あるがままの
手段がある
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