喧騒/森の猫
 
気づかぬように
ゴルフに行き

気づかぬように
帰宅した相方が

また 洗濯物を回している
音で目が覚めた

うざい うざい
目覚めたくない

あたしは
倒れこんだベッドで
愛猫を抱きしめて
知らんぷりを決めこむ

夕方の喧騒の時間
あたしのいないキッチンでは
娘が2時間もかけて
シチューを作っている

玉ねぎを刻むのに
涙がとまらないとの声がする
下の娘が洗い物を終え
玉ねぎ切りを手伝っているようだ

いい訓練だ
あたしは頭が痛くて眠い
ココロを沈めるため
ひたすら 猫の背中をなでる

シチューは
夕方をとうに過ぎ
テレビのゴールデンタイムも
終わろうとしている時間に
できた

食欲のない あたし
子供たちは遅い夕食を
食べている

相方は洗濯物を干す

なんだ
あたしがいなくても
なんとか回っているじゃん
夕方の喧騒

あたしは
また猫とベッドに
頭を沈めた
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