使者/
朧月
赤ん坊は泣く
抱いてよう 抱いてよう
ほんとうにそうなのか
生まれたことを嘆いて泣いている
のではと思ってしまうのは
生まれたくなかった私
赤ん坊のつきだす両腕は
求めている
ほんとうにそうなのか
つきかえしている
のではと思えるのは
私が世界を拒むから
朝に夜に夜中に
なぜ泣くの赤ん坊
顔を真っ赤にして
からだをつっぱらせて
怒るな 怒るな
生まれたことを怒るな
朝日がやっと昇ると
赤ん坊はなにかを悟って
静かに眠る
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