綺麗な目玉に咲く綺麗な花/敬語
 
僕はただ綺麗な花が見たいだけなんだ。

道端で丸くて綺麗なものを拾ったのは、学校から帰る途中のことだった。
ただそれが何であるのかはわからなかったが、綺麗であることだけは間違いなかった。
だから、僕はそれを家に持って帰った。

しかし、その丸くて綺麗なものが何かの目玉であったと知ったのは、母親に「そんな気味の悪い目玉の玩具、早く捨ててきなさい」と怒られたときだった。
僕は驚いた。だって道端に落ちている目玉なんて、見たことも聞いたこともないから。
でも、僕は捨てなかった。目玉は捨てなかった。
何故なら、それは綺麗だったから。それがなんであろうと気にならない程に綺麗だったからだ。

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