春 ひいらり/朧月
 
まだ生まれてきていない言葉を探した
生まれていないのだから
つくるしかないとおもった

見上げると桜が咲いていた

お前は私のこどもではない
桜がたしかに言った

私の記憶には桜がある
私は残念なことに桜から
生まれてはいないだろう
ひいらり と 花びらが いちまい
ひいらり と おちてきた

まだふんでいない 私が
場所へおちた ひいらり

なんだ
私は桜のこ ではない
言葉をつくる?
言葉は ある ような ない ような

白い 真っ白い雲の 青との間から
だれかのぞいてるのじゃないか?

そんな気がするのなら
言葉なんて つくるよりは
感じたほうがはやいのではないか
生めるかどうかは 別として

春は ひいらり ひいらり
終わりの方へむかっている


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