春 ひいらり/朧月
まだ生まれてきていない言葉を探した
生まれていないのだから
つくるしかないとおもった
見上げると桜が咲いていた
お前は私のこどもではない
桜がたしかに言った
私の記憶には桜がある
私は残念なことに桜から
生まれてはいないだろう
ひいらり と 花びらが いちまい
ひいらり と おちてきた
まだふんでいない 私が
場所へおちた ひいらり
なんだ
私は桜のこ ではない
言葉をつくる?
言葉は ある ような ない ような
白い 真っ白い雲の 青との間から
だれかのぞいてるのじゃないか?
そんな気がするのなら
言葉なんて つくるよりは
感じたほうがはやいのではないか
生めるかどうかは 別として
春は ひいらり ひいらり
終わりの方へむかっている
戻る 編 削 Point(4)