雨が降りルーブルへ向かう足元を濡らす/瀬崎 虎彦
 
雨が降りルーブルへ向かう足元を濡らす

とどまれないと二本の足が示すように
何事も今斥力ではじかれていく心のように

地下鉄から吐き出される人
肩を寄せ合って唇を吸う二人
一人冷たい空気を吸って吐く僕

この白亜の空間と言葉の不自由さと
僕の心に巣食う(それは次第に育っている)
人が一人でいるのは良くないと
強く思うせいで君のことが頭から離れないのだ

雨が降りルーブルへ向かう足元を濡らす

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