だから素直さが詩を必要とする/瀬崎 虎彦
内側から悲鳴を上げて裂ける
軽金属が流れ出る 多摩川沿い
いつも おまえなどなにほどのものでもない
こころは おまえなどまかりこすところでない
邪念をはらみ怨嗟に打たれて
町はコンゴウインコのように慄然と夜
腑抜けたこころは 日の光に消毒されて
いつしか溶解する 希望も絶望もない
その極北へ暮れて行く青春を
ライカの中で黙認する
花が咲き いつしか窓は割れ
篩にかけられるように
挫折をともなって肩を組む
だから素直さが詩を必要とする
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