こころについての手紙/瑠王
 
先生、いかがお過ごしでしょうか。
こうして便りを書くのも久しぶりですね。
思えば立ち止まって振り返る度に、
僕はこうして先生へ手紙を書いている気がします。



あの頃、先生がいなければ僕も孤独だったでしょう。
僕が川沿いの土手に座り、
見ていた景色はひとつでした。
そして流れる川もやはりひとつでした。
いったい僕は何を選んでいたのでしょうか。
選択肢などありもしないのに、
いったい何を迷っていたのでしょうか。

先生、僕はこころを失っていたんです。
幾つもの季節が風にさらわれてゆくのに気をとられて
どうやら落としてしまったようです。
世界は転がっていくん
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