秋の帰り道/
 
麦藁帽子に白いシャツ
空を仰ぐと薄い雲が流れてた
僕は帽子のつばをうつむかせ
静かにあぜ道を踏みしめた
少しずつ夏を忘れつつある風に
“さようなら”を告げる

僕は長い夢を見てたんだ
七色のネオンに街のざわめき
小さくぶつかる肩に逸らした視線
僕はその中でちっぽけな虚栄心を持ち
下らない拘りに縛られて
いつも両手を広げて空を掴もうとしていた
欲しいものは…
欲しいものは…
これでもない あれでもない

頭(こうべ)を垂らして秋を歓ぶ稲穂たち
彼らは無邪気だ
僕も昔はそうだった
みんな昔はそうだった

…そろそろ家に帰ろうか
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