9月(完結編)/松本 涼
 
「とりとめもない!」


そう言ってパタンと地べたにつっぷした9月の横にしゃがんで僕は、

「いつまでもスネていたって仕様がないだろ。」

と9月をなだめた。


「フン。お前にオレの気持ちなんてわかるもんか。」


9月はどうやら深く自己嫌悪に陥っているようだ。

もちろん僕には9月の気持ちなんて分からなかったが、何か言わなくてはならない。


「だ、だけど僕はこの1年ずーっと君のことを待っていたんだぜ。

…そうそう、それに友達のエマちゃんだって君のことが大好きだって言ってたし…」


すると9月は僕が言い終わらないうちに、

「えっ!ほんとお?!なんだあー!オレって結構人気あんじゃん!やっほー。」

と叫びながら飛び起き、ものすごい勢いで通りへ駆け出して行ってしまった。


その様子を見て唖然としている僕の肩を、後ろからトントンと叩くものがあった。


「どうもー、お久しぶりー。10月でーす。」



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