日向でわたしたちは愚かにも子供だった/
瀬崎 虎彦
はるかかなたに悲しみを見据えて
黙り込むにび色の宇宙
風がはらむものに耳を貸して
忽然と姿を消すらせんの微笑
毟り取られて憂鬱を晴らせば
秋の日のようにどこかでだれかを待つ
その背中の凹凸を失うべきものとして
見つめるほかないのであれば
わたしたちは誰でもないので
誰一人わたしたちのいる深い井戸に
たどり着くことがない
雨がいつまでも世界中の誰かの
頬を濡らしているとき
日向でわたしたちは愚かにも子供だった
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