窓の外にある季節は/
瀬崎 虎彦
冬のまばゆい朝から
透明さが失われていくと
気温が少しずつ高く
悲しみの濃度が低くなる
だから春でいいのだと思う
僕の心は冬にとどまったまま
だけど春でいいのだと思う
窓の外にある季節は
比喩として心が折れたなら
ふたたび立ち上がるときには
それは一度損なわれてしまっている
比喩として折れた心を
言葉のトリックで癒すことはできない
僕はもう損なわれてしまったのだから
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