イン/蠍星
ああ、だからニンゲンは
あらそいをやめないのだ。
とそう気づいたのは思春期のころでした。
なにゆえに
陰であるのか。
と、なやんでいたのです
サインコサインタンゼントの合間に。
夏でした。
ブリーチした髪がパサつくので
ぼくはチョークをすり減らす速度で
たましいをすり減らして居たのでしょう。
陰。陰。陰。
ぼくらののうみそのうちがわなんて、
そんなものばかりでした。
ぼくらのシナプス、
そんなもので焼切れそうでした。
たとえばあのコのタアタンの布切れのなかに
宇宙。
ぼくらはそうして純情のまま
夏を
終えました。
なにゆえに
陰であるのか。
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