手付かずの未来/ぽこぽこへッへ
クスしていた私への当て付けだろうか。
弟は障害者だから、結婚もできないし、社会貢献もしないし、生涯独身だ。
それは本人も自覚しているだろうが、なんて悲しい自覚だろう。
ときたま、中年の障害者を連れた年老いた母親が、博物館を訪れる。
母親が息子を見ながら言う。
「子供が“こう”だから、色々と連れて回っているのよ。」
そのとき、私は思っちゃいけないことを思った。
思っちゃいけないことは、掻き消すしかないのだが、
それをしなかった罪は、ストレスという罰を生んだ。
「子供が障害者だから、色々連れて回る?」
障害者には一般人並の娯楽がないから、その母親は、
せめて息子が生きているう
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