春のこと/
山中 烏流
数が
視界の大半を埋め尽くすことは
私にとって、決して
喜ばしいことではなく}
根元から落ちた花びらと
その上に残る、小さな足跡の側で
細く伸びた黄緑が
風を
表していた、夕べ
***
陽の光が和らいで伝わる、窓辺から
寝転んで見上げた空は
ほんのりと
乳白色に染まって見えた
大げさに捲れ上がるバスタオルに
日々を思い出す、そんな人が
私だけでないのなら
まだ、きっと、真ん中は痛まない
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