三国橋の上で/都志雄
 

船橋がトラス橋に変わっても
ここにもやっぱり冴えない芦一本、
後生大事としがみつく

野焼きの煙たなびけば
芦焼け葦焼け春萌えて
あしよし あしよし ヨシキリが
あしよし あしよし 品定め


ラジコン 気球 水上スキー
ゴルフに野球に一里塚
次々変わる川沿いの
景色振り切り息切らせ
橋桁の逢瀬は見ぬ振りで
訳知り顔の夕陽が霞む
要の橋の上立てば

あっ 西行サン、


霧ふかき古河のわたりのわたし守岸の舟つきおもひさだめよ



…です、か。

どちら岸にも渡りあぐね
といって川にも飛び込めず
みごと両半身分裂したこのザマを
とりあえず笑いとばしてはみるものの
かすかに引きつる右頬と
シクシク疼く脇腹で
また来た春の生暖かい南風受ける、
束の間の日曜日
三国橋の上



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