かいまき小唄/テシノ
 
何そうやってさっきから
イヌコロみてぇに聞き分けねぇのさ
これは雨戸のすき間の音で
風は声なぞたてやしねぇよ
聞いてて骨が辛ぇのは
いつでもこっちの勝手さね

まったく大した晩だねぃ
湯呑みの酒まで震えてらぁな
侘しまぎれに飯でも炊きゃあ
三和土の土がぽっぽとぬくい
誰だい手桶の汲み水に
小鮒放ったバカヤロは
真ん丸お月さんに捕まって
錦の夢を見てやがる

明けのからすの鳴くまでは
寝床におとがいうずませて
坊主っくりのお月さん
くしゃみ一つのかいまき小唄

寝付けねぇならこっちへ寄んな
ナニ鮒じゃねぇよお前さんだよ
怖かねぇだろシケた面して
風もこんなけ暴れりゃあ
朝にゃおもての木戸まで飛んで
極楽まででも見渡せらぁさ
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