勝負のしゅんかん/吉原 麻
 
カララン

思ったより大きな音がはじけて

丸い木製のテーブルから
黒いプラスチックの灰皿が
まだらクリームいろ模様のゆかに
落下したそのとき

あっ
と言ってふしめになったその睫毛をみて
この人のこと好きだなあと
もう一回おもった

なにか負けたなあとおもったけど
負けてしあわせなわたしは

わたしの睫毛にもそんなちからがあると良いなと
0.5秒くらい余裕をもって
ゆっくりひろう
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