桜待ち/朧月
古城に積まれた石の壁を
遠くから眺めて
はせようとするけれど
なにも浮かばない背景
わからない時代をわかるなどと
桜の開花に似せて占いそうになる
今ある自分の足元の
小さな水溜りさえ
己が願いでは起こさない
波紋をただ見つめる
紅梅咲き乱れて
道行く人の瞳に
映りこんでいるのに
なぜ立ち止まれないの
桜よ 君の花だけが
みなの願い しょってる
白梅連ねるつくられた
風景に立っている
どんな花でも花だと
そんな言葉さえ 許さず
古城の石さえ 揺るぎそうな
春の雪は 冷たい
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