許せない春/小川 葉
冬の雪の下
土の中で正座していた足を
今ゆっくりとほどいていくように
私の足にも
春がおとずれている
痺れる感覚に
気を失いそうになりながら
すみずみまで血がめぐる
生きている懐かしさに顔を歪め
泣いているのか
笑っているのか
私にもわからない
蝶がとまるのだ
私の足に
かんべんしてくれ
しびれるんだ
春、私の足は
いつもしびれている
毎年花を咲かせ
気がつくと花は散り
痺れも消えてそういえば
あの蝶たちはいない
蜜蜂が私のなかで遊ぶころ
私は春を許している
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