ゆるやかな朝/朧月
起きる意味がない
あなたはそう言って眠り続ける
目がさめてもそこから
出ようとはしない 窓の内側
だれにも同じ時は流れ
その音に胸は苦しくなり
私の正義であなたを切りつける
常識の旗 振りかざし
硬くからだ 尖らせ
背中を耳にしたまま
あなたの唇 貝になるのです
海のような涙の中で
端にふれる場所で
座って温度確かめ
いつか拒絶の風がゆるむまで
無音の部屋は草原になる
生きてゆこうよ
あなたと
生きているよ
あなたと
このベッドの上でだけでもいい
あなたと私の生があるから
目がさめたとき
変わらぬ私であなたに会おう
あなたが 起きることの意味を
もう探さなくて いいよに
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