置かれた春に/朧月
 
春のせいにしないで
花びらもつぶやくのに
君は去ってゆく

春の風はゆるやかだと
思い込まないで
春はいそぐ
春はうつろうから

ゆったりだと思おうとして
君を捕まえているつもりで
隣にいないことなんて
忘れることにしてた

花びらは 何色?
この風は 何色?

君の手の温もり
忘れることにしました

春のせいにしないで
二人の影はもう見えない
道標 置いてきぼりの
桜の木は風に揺れる


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