波紋/
翔多
雨の降り止んだ田舎道
憂いを背負った帰り道
閑散とした沈黙の田に
やり場のない想いを投げ込んだ愚痴
一匹の蛙が反応し
静寂は破られた
別の蛙が次々と呼応して鳴き
騒ぎは瞬く間に一面に広がる
張り合う蛙
震える大気
あたりを包み込む荘厳な響き
誰にも言えなかった想いを
とりあえず蛙たちだけは受け止めてくれたような気がした
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